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夕暮れを過ぎて、真っ暗になってもハルは出て来なかった。

やっぱり遅い時間に出てくるのかな。

でももう、いつもの9時も過ぎている。

まさか、見落とした?

そんなはずはないけれど。

そんなことを思っていたら、避難用出口をそっと開けるハルの姿を見つけて、僕は急いで駆け寄った。

「……ハル」

ハルは驚いた顔をして僕を見上げた。

僕が来るって予想していなかったの?

僕はハルの手を握った。

君の手はこんなに柔らかかった?

たった一日。

たった一日なのに、ものすごく長い時間に感じた。

まるで何年も経ってしまったみたいに。

「迎えに来たよ。帰って話そう?」

ハルは苦しそうな顔をして首を振った。

「ダメだよ、一緒にいられない」

「あの人が何を言ったのか知らないけど、全部嘘だよ。その誤解を解くから」

「和馬は嘘つきなんでしょ。自分でそう言ってたじゃない」

「元彼に言ったハッタリの時の話?あれは冗談だよ。とにかく帰ろう」
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