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「ふーん、で?どうしてキスなんかしたの?」

「……階段でばったり会って、『そんな寂しそうな顔してたらいけないよ』って言われて」

絶対にばったり会ったわけじゃないな。

寺嶋のやつ、後をつけて人のいない所を狙ったに違いない。

もう、ハル、それも騙されてるよ。

「それでやすやすとキスをさせちゃったの?」

「やすやすとだなんて!……そんなことないもん。イヤだったからすぐに逃げたもん」

そうだよね、意地悪を言っていることはわかっているんだけれど、僕も自分を止められない。

「どんなキスをされた?」

「え?」

「あいつにどんなキス、された?」

少し乱暴だとは思ったけれど、ハルの顎を掴んだ。

かわいそうに、ハルは涙を浮かべて顔を歪ませた。

大事にしたいのに、こんなことをするなんて。

でも、自分を止められない。

そのまま顔を寄せてキスをした。

あいつの影も形も全て消したくて、わざと深く深くキスをした。

「ん、んっ……」

ハルが声を漏らしたから、僕は唇を離した。

「こんなキスだったの?」
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