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一緒に台所に行くと、想像以上に何も置いていなかった。

「……何もないね」

「うん、何もないよ」

「調味料もないっ」

私が戸棚をバタバタと開ける様子を和馬は面白そうに見ていた。

あったのはヤカンと、新品のフライパンが1つだけ。

炊飯器はあるけれど、使っている様子はない。

調味料もお米も、本当に何もなかった。

これじゃあ、簡単なものを作るにしたって足りな過ぎる。

「だからね、無理に作らなくてもいいんだよ」

「確かにこれはちょっと無理かも。残念だな、作りたかったのに」

「まあね、僕も残念だよ。ハルの手料理、食べたかった」
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