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「仕事、忙しいんだよね?今日も残業とかあるのかな?」

「うん。間違いなくあるよ」

和馬は何かを考えている様子だった。

「何時頃になる?」

「わからないけど、たぶん9時頃かな」

「会社を出るのが?」

「うん」

和馬は「そういえば」と言って、鍵をコトッと置いた。

「合鍵ね」

「あ……、ありがとう」

「僕がいなくても、家にある物は自由に使っていいから」

「う、うん」

和馬はじっと私を見ていたけど、それ以上特に何も言わなかった。
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