形なき愛を血と称して

一時は栄えた家系も、没落。
昔ならば町一つはあろう土地も、辺境の地一部が残っているのみ。

これ以上落ちないように、慎ましやか生きればいいものの、先祖は往生際が悪かった。引くに引けない場所にまで来てしまったのだった。

件の薬。吸血鬼の牙から精製される薬なのだが、当の人外(吸血鬼)に与えれば“人間以上の効果”があったのだ。

失神するほどの快楽を招く魔の薬。与えた吸血鬼の一族にその話は広がる。

同族を売ってでも欲する物により、カウヘンヘルム家は異界の一族と契約したのだった。

これ以上、こちらから死者を出さないために。


利害の一致は、永遠の狂気を約束するもの。

優位であるのは、薬を調合出来るこちらであるが、そのために何度、人とそう変わりないモノを痛めつけて来たことか。

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