【続】俺を嫌いになればいい。
「…アイツん家行ったら、ここに来たくなった」
中学校にわざわざ赴いたのは、思い出の詰まったこの場所が恋しくなったからだった。
さらっと言う飛鳥だが、智輝はそれを聞き逃さず、目を見開いて隣にいる男を凝視する。
「…っは?」
「…それで気づいたら寝てた。それだけだ」
「いやいやいや。ちょっと待てよ。今すげえことサラッと言ったぞ。“アイツん家”ってまさかお前…紗絢ちゃん家に行ったのか!?」
「気安く呼ぶなっつっただろ。埋めるぞ」
「どこに!まさか平地に!?
…って違うだろ!今は紗絢ちゃんの話してんだから!話逸らすなよ!」
テンパる智輝は珍しく叫びまくる。
見慣れぬ、それも高校生らしき男が叫ぶ姿は目立ち、下校途中の中学生はふたりを避け、こそこそする。