Special to me
「"助役級昇格試験"?」

『うちの会社・・・いや、龍成社もそうだと思うけど、一般の社員にも等級ってあると思うんだ。特に鉄道会社は等級をひとつ上げるごとに試験が必ずあって、最初は"社員C"、試験を受けて受かったら"社員B"、そしてさらに試験を受けて"社員A"。米原は今"社員A"なんだけど、入社して丸8年経過し、かつ"社員A"の等級を持っている社員は、この"助役級昇格試験"というものの受験資格が得られる』

それまで立って話していた曽我さんが、私の向かい側に座った。

『米原は入社して10年目。つまり入社して9年が経過しているから、既にこの試験を受ける資格を有している。本人の了承のもと、我々助役が進言し、最終的に駅長がこの用紙を会社に提出する。ただ、これはあくまで"推薦状"だから、本番の試験は、本人の実力次第だけど』

「この用紙を私に見せる意味って・・・」

『僕は米原を推したくて、実は去年から説得しているんだけど、この試験を受けること自体に、本人が首を縦に振らないんだ』

なぜだろう。
男の人って、出世とか給料アップとか、考えるものだと思っていたのに。
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