Special to me
晃樹の実家。

晃樹のアパートから徒歩で1分もないくらいの距離なのに、一度もお邪魔したことがなかった。

今年の元旦にあんなことがあったし…

『心配するな、うちの親は真子を悪いようにはしないよ』

玄関の前で私の頭を撫でた晃樹。

そしてドアを開ける。

『ただいま』
「こんばんは」

エプロンを着けたまま奥から現れた晃樹のお母さん。

『いらっしゃい。待っていたのよ。どこに行ってたか知らないけど、何だか晃樹は艶っぽいわね』

まさか、この直前までラブホテルにいたなんて言えないよね。

でも、何だか鋭そうなお母さんだなぁ。

「初めまして。宇都宮真子です」
『真子ちゃんね。私は晃樹の母のナオコです。晃樹からは話を聞いているわ』

"さ、どうぞ"と、奥へ通された。

お世辞にも、新しいとは言えない木造の家。

リビングには、トロフィーの数々。

「これは、誰のですか?」

私はお母さんに聞いた。

『亡くなった主人と、晃樹と、晃樹の姉の、全部柔道で貰ったものよ』

良く見ると、トロフィーや賞状に書いてある名前のほとんどが"米原光明"となっている。
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