Special to me
「いえ、行きます!米原さん、どこにいますか?」

"本当ですか?"

今度は米原さんが驚いた声だ。

「はい。でも米原さんは"明け"で疲れていると思いますので、合わせます」

"気が使える人なんですね、貴方は。僕は今、駅前のコーヒーショップでお茶してますよ"

「すぐ行きます!待っていてください!」

私、着替えなくちゃ。
どんな服がいいだろう?
メイクもしなくちゃ。

でも米原さんを待たせるわけにはいかない。

駅前まで約10分。

慌てて出てきた私は、メイクはリップのみ。

服はチノパンに薄いピンクのTシャツ。

どう考えてもオシャレとはいい難い。

でも米原さんを待たせないようにすることを私は優先した。

走った。

走るのは、仕事中でもよくやること。

でも、スニーカーで走るのって、いつぶりだろう?

それでも、駅までの道のりが、すごく遠く感じた。
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