Special to me
隣にあったイルカ館でも手を繋いだまま。

お昼ごはんを食べるために入った園内のレストランで着席するギリギリまで手を繋いだまま。

そして席を立って店を出たら、再び俺は彼女の手を取った。

自分でも信じられないくらい積極的な行動。

彼女がまた転んだら、痛いだろうから。
でもそれは建前。

もっと、彼女の手の感触を確かめたいから。
これが本音。

日が傾きかけた午後5時半。
俺は彼女を送ろうとした時、彼女から、

『もう少し、お話ししたいです』

と言われて、俺は車をある場所へ走らせていた。

そこは、彼女の家の場所を通り過ぎた、俺の実家近くの小高い丘。

一見寂しい場所だけど、公園なので夜になれば街灯もきちんと点く。

「さ、着いたよ」

『ここは?』

「俺のひとりドライブで必ず止まるコース。普段は昼間に来て自然の景色を眺めるんだけど、今日はすっかり暗くなっちゃったね」

"そこに座ろう"と、俺はベンチに彼女を座らせる。

「さっきの擦り傷は大丈夫?」
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