Special to me
『はい、平気です。お風呂入ったらしみるかも知れませんけど』
「アハハハ、そうかも知れないね」

俺は彼女の隣に座った。

「俺、勘違いしているかな」
『はい?』

今日の俺はいつもの俺と違う。
今までの俺は、女の子にこんなに積極的だったか?

来るものに流されているだけだった俺が・・・

「今日の俺、真子ちゃんに失礼なことしなかったかな」

すると、彼女は俺を見て首を大きく横に振った。

『何を言っているんですか。手をずっと繋いでくれて、これほど嬉しいデートはありませんでした』

彼女は俺の手を握った。

『大きくて、厚みがある手ですね、米原さんって』
「真子ちゃんは、小さくて、柔らかい手だよ」

俺達はそのまま各々を愛しむように見つめ合っていた。

「真子ちゃん、そんな顔されると、俺、ますます勘違いしちゃうよ」

『勘違いじゃないです。米原さんの勘は、間違えていません』

そう言うと、彼女はもう片方の手を俺の手の上に重ねた。
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