Special to me
翌日は朝が早かった。

6時に起きて、この年になっても頼りっきりの母が作る朝食を食べ、出発する。

今日は社長と取引先の社長とゴルフのお供。
集合場所の駅までは電車でゴルフのセットを運ばなければならない。

重いなぁ。
でも、超ペーパードライバーな私は車運転できないしね。

そうやって、昨日傘を貸してくれたいつもの最寄り駅に着く。

すると、"ワンマン"には、昨日の笑顔が素敵な駅員さんが立っていた。

昨日あんな夜遅くまで働いていたのに、もうこんな時間からいるの?
駅員さんって、大変なんだなぁ。

でも昨日の今日だし、昨日のお礼はしておこう。

「あの・・・」
『昨日の方、ですね?』
「覚えてらっしゃったんですか?」
『はい』

私に昨日と同じ笑顔を見せた駅員さん。

名札を見ると・・・「米原」と書かれていた。

『ヨネハラと申します』

私の目線に気付いたのか、自分から名乗ってくれた。

「あ、あの、私は宇都宮真子(ウツノミヤマコ)です」

思わず名前を名乗ってしまった。

『いつも、この駅使われていますよね。大体、乗る電車が同じですよね』
「え、ええ」

私、見られてたの?

駅員さん・・・米原さんの言葉に、戸惑ってしまった。
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