ウェディングドレスと6月の雨
 高田さんはカップの片付けをそのままに、自分の荷物だけを持って会議室を出て行った。


「何時まで大丈夫ですか?」
「19時まで」
「コーヒー、入れます」
「ああ」


 高田さんがまとめていた空きカップを持って給湯室に行く。保温ポットに残っていたコーヒーを新しいカップに入れて会議室に戻る。私は少しホッとしていた。高田さんの食事の誘いを断れたこと、そして……穂積さんに拒否されなかったこと。仕事のことだから、断りようも無かったのだろうけど。穂積さんにの前にコーヒーを置き、私は隣に腰掛けた。


「製品部のところからはお聞きになってますよね」
「いいのか?」
「え?」


 思わず隣の穂積さんの顔を見上げた。穂積さんは髪をかき上げて、床を見つめている。


「何をですか」
「高田。あの様子じゃ、相当怒ってるだろ」
「そうかもしれません……」
「追いかけなくていいのか?」
「ええ」


 床を見ていた穂積さんはチラリと横にいる私の顔を見た。


「付き合ってるんじゃないのか? ああ、逆か。付き合ってるなら後でフォローする機会もあるか」
「付き合っ……え?」


 ちょっと待って……。穂積さんは高田さんと私が付き合ってると勘違いしている??

< 144 / 246 >

この作品をシェア

pagetop