ウェディングドレスと6月の雨
「いいよね?」
「……」


 怖くて萎縮して返事が出来ない。雑巾を握り締めたまま立ち尽くして……。

 そのときだった。


「おい」


 給湯室の入口から、低い声。


「高田、何してる」


 穂積さんだ。思わず目で訴える。


「いや。今夜のお誘いをね」


 高田さんは悪びれる様子もなく、そう言った。そして私の肩に当てていた手をゆっくりと下ろした。入口にいる穂積さんは高田さんを睨みつけている。


「なんだよ、怖い顔して」
「嫌がってんだろ?」
「そう? こないだも2人で飲みに行ったし、別に嫌がってないと思うけどね」
「怯えてるだろ、分かんねえのか?」
「何ムキになってんだよ。穂積だって神辺って奴とイイことしてんだろ? 他人のことはほっとけよ」


 高田さんは私から離れて、穂積さんのところへ近付いていく。挑発するように穂積さんの顔に自分の顔を近付けた。


「女たぶらかして、胡座かいてるお前に言われたくねえな!」

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