ウェディングドレスと6月の雨
 そして。


「きゃっ!」
「ああっ」


 ブーツに感じる冷たい感触。水の音。足元を見ると波が掛かっていた。勿論、穂積さんのスニーカーにも。2人で顔を見合わせる。


「大丈夫か?」
「はい、私は。穂積さんは?」
「濡れた」


 穂積さんは苦笑いして、太腿の辺りでジーンズを摘まみ引き上げた。


「少しここで待っててくれないか」


 そう言って穂積さんは駐車場の方へ駆けて行った。後ろ姿を眺める。穂積さんに告白された、キスされた……。両想いになれたなんて信じられない。夢心地でふわふわとする。


「きゃっ!」


 ぼーっとしていたら再び足元は波をかぶってしまった。さすがに2度目、縫い目から潮水が中に入り込んで、冷たくなった。でもその冷たさが夢じゃないって教えてくれる。

 振り返って海を眺める。大きな波が寄せて慌てて数歩下がった。時折吹く海風が私の唇を撫でて、その感触でさっきのキスを思い出して余韻に浸る。駄目だ……またドキドキして胸が痛くなる。

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