ウェディングドレスと6月の雨
 これから……お互いにお互いのことを……。そう言われて妙に恥ずかしくて、私の顔はカアッと熱くなった。自分の知られたくないことは無いけれど、知られて恥ずかしいことは沢山ある。でもそれをこれから穂積さんは知っていくのかと思うと恥ずかしくて、恥ずかしくて。


「嫌か?」
「嫌じゃないけど……何となく恥ずかしくて」
「じゃあ、知らない方がいい? 成瀬のこと」
「それも……困りますけど」


 私は手元のコーンスープを缶を見つめる。すると不意にその缶は手元からスルリと抜けた。穂積さんが缶をすくい上げた。


「俺にも飲ませろ」
「えっ」


 穂積さんはコーンスープの缶に口を付けてゴクリと飲む。間接キス。


「ちょっと穂積さん」
「はい」


 缶を返されて。


「こういうのは嫌か?」
「こういうの、って」
「間接キス。嫌なら、口移しで飲ませてやろうか」
「え、や、そのっ!」
「冗談」
「もう……」


 穂積さんは笑ってコーヒーを飲む。私もコーンスープを飲む。間接キスに何をドキドキしてるんだろう。さっきは海辺で沢山、沢山、キスをしたのに。

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