ウェディングドレスと6月の雨


 穂積さんは食べ終えるとシートを倒して目をつむった。3分としないうちに穂積さんからスースーという寝息が聞こえた。


「……」


 両手を頭とシートの間に差し込んでいる穂積さんを見つめる。お互い、変に気遣ってるのも妙な連帯感があっていい。

 私は自分のお弁当をトートにしまって足元に置く。そして助手席から身を乗り出した。


「穂積さん……」


 手を運転席のシートについてゆっくりと身を傾ける。顔を近付けてそっとキスをした。

 好き……。


「……え?」


 突然、後頭部を押さえつけられた。


「穂積さ」
「喋るな」


 押さえつけられて、強引にキスを続けさせられて。


「あんまり煽るな」
「だって……」


 そんな言葉とは裏腹にキスは続けられた。








< 219 / 246 >

この作品をシェア

pagetop