ウェディングドレスと6月の雨
……週末。


 私は自宅のアパートで右往左往していた。一度スーツに着替えたのだが、今日は日曜日。それもかしこまってると鏡を見て思い、ジーンズに履き替える。それもラフ過ぎるし、と余所行き用に買っておいたワンピースに袖を通した。淡いブルー地に明るい小花柄の少し甘めの、それ。フレンチスリーブで少しかしこまった印象もあるからそれにした。

 ワンピース……。あのときゴミ箱に投げ入れられた紙袋、白いワンピース。うちのクローゼットの中に置いてある。自分で着ようと思って拾い上げた訳じゃない。ただ何となく、捨ててはいけないもののように感じた。穂積さんが意地でも捨てようとしてる気がしてならない。捨てたくないのに、こう、無理して捨てようとしている。

 小花柄のワンピースに合わせて明るいベージュのサンダルを選び、私はアパートを出た。今日も曇り空、すっきりはしない。穂積さんは本当に不倫していて、彼女のお腹には穂積さんの子が宿っているんだろうか。それを承知で穂積さんは赤ちゃんの誕生を待ちわびているんだろうか、って。考えでもってしょうがないのに考えてしまう。

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