ウェディングドレスと6月の雨

 駅に着いて穂積さんの姿を探す。すると駅の前のロータリーに止められた車から人が降りてくるのが見えた。ジーンズ、黒いTシャツ……穂積さんだった。


「あ……」
「乗れよ」
「はい」


 車は黒いツードアの小型車。後部座席もあるから4人乗りだろうけど、ほとんどお飾りみたいな座席。実質2人乗りなんだろう。助手席は彼女の指定席なんだろうか、そんなことを考える。でも何も気付かないフリで私は車に乗り込んだ。 


「ありがとうございます」
「いや。休みのところ来てもらって悪い」
「いえ。特に予定もなかったので」


 車はロータリーを抜けて通りに出る。日曜だからか、道はこの前より空いていた。吸い込まれるみたいに穂積さんのマンションに近づいていく。私は怖くなって心臓を高鳴らせた。


 駐車場に小型車は止まる。降りる。マンションのエントランスからエレベーターに乗り込む。小さな空間……息を止める。

 穂積さんは何も喋らない。だから私も黙っていた。カードキーで開錠して穂積さんは部屋に入る、私も入る。屈んでサンダルのホックをはずすと床に上がってサンダルの向きを揃える。

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