ウェディングドレスと6月の雨
「ちょっと営業成績がいいからって気取って。半分はあの神辺って女のお陰だろ」
「そんなこと……」
「成瀬さん、何。穂積の肩を持つの?」
「そういう訳じゃありません」
「あんな遅刻ばっかりの奴。馬鹿にしてんだぜ、きっと。部長だって同席してるのに軽く見られてるんだよ、俺たち」


 高田さんはポットを持ってくれた。私もカップや湯呑みをトレーに乗せて会議室に移動する。中に入るとメンバーはそろっていたけれど、肝心の穂積さんはいなかった。軽く息を吐いて皆にコーヒーを入れる。最後に入室した営業部長にお茶を入れたところで時計の短針は4を指した。定刻。部長が開会を宣言して会議は始まった。

 最終会議、皆が細かな調整をするのに意見を出し合う。広報の高田さんも今日は特にヒートアップしていた。これまで新製品をいろんな角度で宣伝してきた高田さんだけに、熱も入るんだろう。製品部の人とも軽く衝突したり、室内はピリピリしていた。ふと窓の外を見れば雨、大粒。時折、真っ直ぐ縦に落ちる稲妻も見えた。そのたびに私は肩を竦める。

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