ウェディングドレスと6月の雨
重い鞄を持ってもらえて何かを期待して、今度は仕事の心配だったのかとガックリする自分。そして私の好みを言い当てられて驚いて、元彼女の好みと合っていたからと告げられて胸を痛ませて。私は何をしているんだろう。
直に戻ってきた穂積さんはキャラメルマキアートを私に手渡す。
「神辺さんも甘党でしたか」
「ああ。キャラメルマキアートなら更にホイップクリームも増量」
「可愛いですね、そういうの。大人の女性が甘いものを好きって」
「ああ、そうだな」
無愛想だった穂積さんの頬が少し緩んだ。私はキャラメルマキアートに視線を移してそれをプラスチックのスプーンで頬張った。甘い……でも苦い。神辺さんもこの味を好きなんだと思うと胸が痛くなる。
時間になって取引先に移動した。見上げるほどの大きなビル。自動ドアをくぐり抜けロビーに入ると、突然、穂積さんは笑顔になった。スーツ姿の男性達と挨拶を始めた。さっきコーヒーショップにいた男性もいて。どうやら既に到着していた競合他社の営業マン達らしい。私はそのにこやかな穂積さんの態度に驚いて気後れしてしまった。ロビーの隅で挨拶が終わるのを待つ。
しばらくして穂積さんは私を呼びつけ、受付カウンターに一緒に行くと受付嬢に社名を告げた。階上の小さな部屋に通される。控え室らしく、くじ引きで決められた順番までここで待機ということらしい。