ウェディングドレスと6月の雨

 そのまま、ぼんやりと景色を眺めながらカクテルを飲んだ。何を話す訳でもなく、ただゆったりと。

 時間はゆっくりと進む。来たときには高い位置にあった太陽も山の稜線に近づいた。光の色は赤めのオレンジ色、空も比例して赤く染まる。グラデーションが鮮やかだ。照らされた店の壁も穂積さんの頬も暖色系になった。


「綺麗ですね」
「ああ」


 穂積さんを見ると遠くを見ていた。景色なのだから当然だけれど。私は推測した。焦点は景色じゃなくて……きっと彼女。

 聞く必要なんてない。聞いたところでどうにかなるものでもない。でも自然と口は開いてしまう……。


「穂積さん、ひとつおうかがいしてもいいですか?」


 私がそう尋ねると、穂積さんはグラスをテーブルに置いた。


「……ああ」
「彼女とつきあい始めたキッカケってなんだったんですか?」
「そんなこと聞いてどうする」

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