ウェディングドレスと6月の雨
「乗り掛かった舟……みたいなものです」
そう答えるとクスクスと笑う。アンタ、物好きだな、って。そして穂積さんはぼそりと答えた。
「……新人研修」
「研修って、例の海の近くの研修施設ですか? 入社後すぐに1週間缶詰めにされる、あの研修……」
穂積さんは、ああ、と頷いた。
「彼女は人事部の雑用係で来てた。施設内禁煙だったから外に抜け出して一服してたら、携帯握りしめて泣きながら裏庭に来たんだ」
「何故泣いてたんですか」
「旦那。旦那が浮気してるって。女とホテルにシケ込んだらしい。大学時代の友人から直接電話があったんだ、そのとき」
私の頭の中は疑問符でいっぱいになる。だって、神辺さんのご主人が浮気して、大学時代の友人から電話で知るってことは、その友人が目撃したってこと?
「ご友人からの密告、ということですか?」
「密告……まあそうだけど。その密告者が浮気相手」
「え、じゃあ、旦那さんは奥さんの友人と……?」