ウェディングドレスと6月の雨

「あ、そうそう。神辺さん、産休だって。本社の同期から聞いたんだけど」
「そうですか」
「赤ちゃんの血液型の予想で盛り上がってるんだって。下馬評っていうの? しかも賭けをしてる輩もいるとか。下品よねえ」
「血液型?」
「そ。ようするに旦那の子か穂積さんの子か。神辺さんがA型、神辺さんの旦那がAB型らしいのよ。で、穂積さんがO型。つまり……」
「先輩も同類です、もう」
「真面目ねえ、成瀬さん。あ、課長おはようございます。コーヒー開けました!」


 課長が出勤してきて先輩は課長にもアイスコーヒーを注ぎ分けた。産休に入るということは神辺さんは臨月。来月には出産する。これで生まれてきた赤ちゃんの血液型を調べれば父親が誰かは推測しやすくなる。赤ちゃんがB、AB型なら穂積さんの疑いは晴れる。もしAなら……噂は大きくなるに違いない。Oなら論外。こんなことを考えてる私も下品だ。それよりも週末のことを考えよう。

 穂積さんを案内したい場所。どうせ行くなら穂積さんが喜ぶ場所がいい。でも穂積さんって何が好きなんだろう。何も知らない。

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