ウェディングドレスと6月の雨
 徒歩で穂積さんのマンションに向かう。穂積さんの車を取りに行くためだ。途中コンビニに寄り10分ほどでマンションに着いた。穂積さんの車に乗り込む。炎天下に置かれていた車、ボディの色は黒だからなおのこと。熱を吸収した車内、ドアを開けた瞬間にむんわりした熱風が顔を直撃した。座れば革張りのシートからの温熱。


「悪い。すぐに冷えるから」
「はい」


 私はコンビニの袋からペットボトルを取り出し、ドリンクホルダーに差した。エンジンをかけてん車はバックする。穂積さんの左腕が私の座る助手席に置かれる。そして穂積さんは右手で器用にハンドルを回し、車を駐車枠から出した。ドキドキした。肩を抱かれてるみたいで……。

 ウィンカーを出して車は公道に乗る。海……どこの海に行くつもりだろう。最寄りの海岸なら1時間帯程度。会社の研修施設のあるところだ。車が軌道に乗ると穂積さんはカーステレオのスイッチを押し、音楽を掛けた。洋楽、多分ボサノバ。シャカシャカというタンバリンの軽快なリズムと気だるい女性ボーカルの声、涼しげな楽器音。聞いてるだけで南国風気分になる。


「好きか?」
「え?」
「曲」
「はい」
「飽きたら足元にボックスがあるから好きなCD出して」

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