ウェディングドレスと6月の雨

 穂積さんのCD。普段どんな音楽を聞いてるのか気になる……。


「今見てもいいですか?」
「ああ」


 私は足元にある黒いボックスを拾い上げ、膝に乗せた。まだ冷めてない暖かい蓋を開けた。10枚ほどのCD、タイトルもアーティスト名もアルファベットの羅列。つまりは洋楽。


「ジャネットジャクソン、バックストリートボーイズ、マライヤ……」


 聞き覚えのあるグループ名や曲名。中から一枚取り出してジャケットを見ると日に焼けている。


「高校時代に聞いてたヤツ。古いか?」
「あ、モーニング娘。も……ぷっ」


 洋楽に混じって1枚の邦楽がアイドルグループだったのが何故かツボに入って。思わず鼻で笑ってしまった。


「笑うな!」
「いいじゃないですか。意外性があっていいと思います」


 普段はぶっきらぼうで無愛想な穂積さんもアイドルが好きだったことを知って嬉しくなる。私しか知らない秘密。そして、それは。


「どうかしたか?」


 ……彼女も知ってる秘密。


「いえ。ペットボトル開けましょうか?」
「ああ、悪い」

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