ウェディングドレスと6月の雨
噂をしてるっぽい……。
オフィスに入ると先輩がアイスコーヒーのボトルを片手に私のところへ駆け寄ってきた、血相を変えて。
「ねえ大変」
「おはようございます」
「成瀬さん、冷静になってる場合じゃないの。本社の神辺さん、入院したって」
「入院?」
「今朝、産気づいて産婦人科に入院したみたい」
「そうですか」
先輩は、だからあ、と嬉しそうにアイスコーヒーを注ぎ分ける。AかBかOかABか、と下賤な話を振る。さっきロビーでチラチラと見られていたのは神辺さんの出産絡みでかもしれない。直前まで穂積さんと話していたから。
「つれないなあ、成瀬さん。成瀬さんだって気になるでしょ?」
「いえ別に」
「またまたあ。穂積さんと仲いいらしいじゃない」
私は鞄をデスクに置いて、先輩を見た。アイスコーヒーを受け取る。
「やっぱり」
「な、何がですか」
「成瀬さん、分かりやすーい」
「だから何がですか」
「先週、映画館で見たんだから。カウンターでポップコーン選んでる選んでる、と、こ、ろ!」
先輩は、ニクイネー、と言いながら私に肘鉄した。まあ見たのは私じゃないけど、と先輩は言う。
オフィスに入ると先輩がアイスコーヒーのボトルを片手に私のところへ駆け寄ってきた、血相を変えて。
「ねえ大変」
「おはようございます」
「成瀬さん、冷静になってる場合じゃないの。本社の神辺さん、入院したって」
「入院?」
「今朝、産気づいて産婦人科に入院したみたい」
「そうですか」
先輩は、だからあ、と嬉しそうにアイスコーヒーを注ぎ分ける。AかBかOかABか、と下賤な話を振る。さっきロビーでチラチラと見られていたのは神辺さんの出産絡みでかもしれない。直前まで穂積さんと話していたから。
「つれないなあ、成瀬さん。成瀬さんだって気になるでしょ?」
「いえ別に」
「またまたあ。穂積さんと仲いいらしいじゃない」
私は鞄をデスクに置いて、先輩を見た。アイスコーヒーを受け取る。
「やっぱり」
「な、何がですか」
「成瀬さん、分かりやすーい」
「だから何がですか」
「先週、映画館で見たんだから。カウンターでポップコーン選んでる選んでる、と、こ、ろ!」
先輩は、ニクイネー、と言いながら私に肘鉄した。まあ見たのは私じゃないけど、と先輩は言う。