ウェディングドレスと6月の雨

 ……母子ともに健康で無事に生まれた、という情報が入ったのは終業間近の17時半。それを私の耳に入れたのは穂積さんではなく先輩だ。私は無事に生まれたと聞いてホッとしたけれど、先輩は赤ちゃんの血液型が知りたくて仕方がなかったみたいだった。そして、穂積さんからメールが来たのはその少し後。


“無事生まれたらしい。安心した。”


 私は返信を打った。穂積さんを誘おうと思った。


“おめでとうございます。お祝いしませんか?”


 するとすぐに来る返事。


“ああ。飲みに行こう。今晩空いてるか?”



 私は勿論、空いてる、と返事をした。



*ー*ー*

 
 定時を過ぎて2時間後。私は穂積さんと焼鳥屋さんで飲んでいた。会社からひと駅の、穂積さんちの近く。穂積さんにガス抜きさせたかった。飲んで忘れられる筈もないけれど、少しは発散出来るんじゃないかって。マンションの近くなら安心して飲めるだろうし、もし穂積さんが酔っても送ってあげられるから。そのせいもあって穂積さんは生ビールを何杯もお代わりした。笑い上戸なのか、穂積さんは明るく楽しそうに飲んでいた。勿論、気を張ってるのもあると思う。少し浮いた明るさなのは、付き合いの浅い私にも分かっていた。

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