あゆみ
それでもナオヤに対して
悪いという気持ちは
おこらなかった。
援交しようが関係ない
どうでもいい。
私のこの冷めきった心は
誰にも変えられない。
家に帰るとナオヤは起きていて
キッチンに立って
パスタを作っていた。
「おかえりー♪遅かったじゃん。
どこ行ってたの?」
左手に煙草を持ち
右手で器用にパスタを
炒めながら聞いてきた。
「んーちょっとねぇ」
私は援交のことはあえて
言わなかった。
「俺昨日朝まで女に付き合わされてて
疲れて爆睡してたわー
起きたらあゆみ居ねぇし
寂しかったよー」
パスタを炒める手をやめ
私に近寄ってきた。
そして目が合い
唇がそっと重なった。
「あゆみ…」
甘い声。甘い香り。
それで何人の女を落としてきたんだろう?
ナオヤの手が私の胸に触れた。
「ナオヤっ、パスタまだでしょ。
私お腹空いちゃった。
早く作ってよ」
「あぁ…おう」
ナオヤはキッチンに戻った。
さっきのオヤジとのことが
脳裏に蘇ってナオヤに
触れられたいと思わなかった。
オヤジにさわられた私は
汚い女だ。
もっともっと汚くなるだろう。
ナオヤとは