引き立て役よさようなら(番外編追加)
「お疲れ様です」
うれしそうな顔で見つめてくれるのはうれしいけど
多分今の俺は凄く嫌な顔をしているんだと思った。
前髪が前よりも長くなっているから
もしかしたら優花には達央の表情はわかりにくいのかもしれないが
マジで面白くない。
「おつかれ・・」

さっきまでハグしたいって思ってたのに
俺ってこんなに心狭かったっけ?
いままでここまで嫉妬した経験がないからよくわからない。

不機嫌さが伝わったのか優花が俯きながら
「なんか忙しそうなんで・・・帰った方が・・いい・・かな?」
と言いだした。
達央は慌てて帰らなくていいというのだけれど
さっきの達央の態度がショックだったようだ。

「・・・あの川久保って男と何で仲いいの?」
視線を合わさないように喋ると
「えっ?川久保君とは・・・・同級生なの」
「え?」
「偶然なんだけど・・・高校の時同じクラスだったの。
それに達央さんみたくミュージシャンだって事も
ついさっきっ聞いて知ったの」

同級生かよ・・・・
その言葉でさっきまでのイライラは消えたが
せれでも面白くないのは事実で・・・・
でも本人を目の前に川久保とは会うなとは言えず
何ともモヤモヤした感情を抱えたまま
達央はリハを続けた。

案の定、見学している間、川久保の隣に優花がいた。
もちろんよこっちもいるけど
なんのガードにもなってない。

今日は・・・このまま優花を連れて帰る。
達央はそう思いながら
モヤモヤ全開でリハーサルを続けた。

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