私がお嬢様をやめる時
「いや…
菜々穂が俺のものになるなら
執事は辞める。
嫌だろ?
俺が菜々穂以外の男に仕えるなんて。
俺が菜々穂だったら嫌だ。」

ほんとにこの人は
私の全てをわかってる。

「俺はエリートだぞ?
どんな仕事だって就ける。」

得意気に笑う。

「菜々穂…一緒にこの家を出よう。」

もう迷いはなかった。
兄やお父様のために
私はこの家にいたつもりだった。
でも、結局あの二人は
私のことなんて
これっぽっちも
わかってくれていなかった。
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