私がお嬢様をやめる時
振り向くとそこにいたのは
爽やかな男の人だった。


「さっきから君を見ていて…
とても素敵だなぁ…って
少しお話しませんか?」


へぇ…嬉しいこと言ってくれるわね。
私はやっと声が掛かって
今日のオシャレが
無駄にならなかったことを
嬉しく思った。


彼は広告代理店に勤めているそうだ。
なかなか気さくで話しやすかった。



「菜々穂ちゃん
お酒は?飲まないの?」


彼は私のグラスを見て言った。
私のグラスにはお酒ではなく
ジュースが注がれている。

「お酒は苦手で…」


私はお酒にめっぽう弱い。
20歳になったお祝いで
玲奈達とバーで飲んだことがあるが
私はすぐ真っ赤になって
ヘロヘロだった。
それ以来、お酒はほとんど飲まない。


「本当?
まだそんなに飲んだ事ないの?」


彼は立ち上がり
「飲みやすいお酒を教えてあげる。」と
言って私をバーカウンターへ
連れて行った。


バーテンダーに注文する彼。


「あ、でも、本当弱いんで
いらないです。」


私が何度か断ったが
彼は「とりあえず飲んでみて。」
とバーテンダーに作らせた
綺麗な色のカクテルを渡された。
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