私がお嬢様をやめる時
渋々グラスを傾ける。
思ったよりも
飲みやすくて美味しかった。


「ね?美味しいでしょ?」


彼は爽やかに微笑んだ。
しばらく彼と話をしていたが
なんだか
だんだん頭がぼーっとしてきた。


顔がすごく熱い。





「ここ賑やかだし、出ない?
オススメのバーがあるんだ。
飲みやすいお酒
色々教えてあげるよ。」


彼が何か言ってるが
よくわからない。

彼は私の腰に手をまわし
レストランから出ようと
私を誘導する。

たまたま
玲奈が私を見かけて駆け寄ってきた。


「菜々穂!?大丈夫!?
顔が真っ赤よ!?」

玲奈はキッと彼を睨んだ。


「あんた
もしかして無理やり飲ませた!?」


彼はニヤッと笑って


「無理やりだなんて人聞きが悪い。
お酒の飲み方を
知らないみたいだったから
教えてあげただけさ。
でも、本当に弱いみたいだね。
大丈夫。
僕が責任を持って彼女を介抱するよ。」


「なっ!?あなた菜々穂を酔わせて
無理やり…」


そんな二人の会話が遠くで聞こえる…
私は椅子から立ち上がった瞬間から
心臓が煽って、息が苦しくなっていた。

ついに立っていられなくなって
彼の腕から離れ
そのまま倒れこみそうになった時…
ふわっとした感覚になった。


あれ?誰かが私を抱きかかえてる…?


「水…嶋…?」


ぼんやりと私の目に映るのは
眼鏡の無表情男だった。
私はそこから記憶がない…
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