幸せの花が咲く町で
*



「わぁ、懐かしいなぁ……」



家の中は段ボールだらけだということで、結局、その日、なっちゃんと小太郎は家に泊まることになった。



「ここは、ほとんど変わってないんだね。」

「うん、香織さんとお母さんは下の部屋を使ってるから。」

「あ……『篠宮さん』じゃなくて『香織さん』になったんだ。」

「だ、だって、お母さんも篠宮さんなわけだから……」

なっちゃんは、僕の顔を見ながらにやにやと笑う。



「ま、焦らずゆっくりだよね。
あ、そういえば、店の名前は何になったの?」

「それがまだなんだよ。
考えれば考える程、わからなくなって……」

「おいおい、旦那、開店は明後日ですぜ。」

なっちゃんはおどけて、僕を肘で突っつく。



「わかってるよ。」

「その他のことは大丈夫なの?」

「うん、大丈夫だと思う。
花も明日には入って来るし、準備万端。」

「篠宮さん達ともうまくいってるんだね?」

「……まぁね。っていうか、予想以上にうまくいってるかな。
そんなことより、亮介さんの方は大丈夫なの?」

「大丈夫、大丈夫。
やつはあんたみたいに繊細じゃないし、馬鹿だからどうとでもなる。
しかも、やつはなっちゃんにぞっこんですから!」

小太郎は、なんとなくおかしな雰囲気を感じながらも、やっぱり僕のことを父親だと思っているらしい。
それも仕方のないことだ。
亮介さんとは小太郎が小さい頃に別居してるんだから……
無理に説明することはしないで、自然にわかるのを待つつもりなんだとか……
翔君ママには、近々すべてを打ち明けるらしい。



「だから、今の最重要問題は店名であります!
大佐殿、なにとぞ良い名付けを…!」

なっちゃんは敬礼をしながらそう言った。



「わかったよ。今夜中に決めます。」

そうはいったものの、良い案は全く浮かばない。
僕は知恵を借りに、香織さんの所へ向かった。
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