幸せの花が咲く町で




「ここです。」

「本当にすぐ傍なんですね。
ありがとうございました。」

「じゃあ、私達、このへんで待ってますから……」

「いえ、もう道もわかりますし、帰りは大丈夫です。
長い間、本当にどうもありがとうございました。
小太郎、パパが帰って来るまでひとりでお留守番出来るな?」

「え~……」

「すぐ帰って来るから。」

「堤さんがお帰りになるまで、私もお家で待ってます。」

「でも、そんな……」


結局、今度もまた女性に甘えることになった。



いくら病院に行ったからといっても、いつものようには動けそうにない。
だから、買い物はすぐに食べられそうなお惣菜を頼み、あとは、小太郎にほしいものを買って来るように伝えた。
小太郎はスーパーが好きだから、買い物がどうのこうのというよりは、スーパーに行きたいだけなんだ。
行くだけ行ったら、それで満足する。
帰って来たら、女性は買って来たものを冷蔵庫におさめ、そして、ちょうど良い時間になったから、僕を病院に連れて行ってくれた。
もう二時間以上一緒にいてもらったし、そろそろ帰ってもらわないと申し訳ない…と思っていたけど、確かに小太郎をひとりにしとくのも不安といえば不安だ。
でも、診察なんてすぐに済むだろうから……
そう思っていたら、意外にも待合室はけっこう混んでいた。



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