エンビィ 【完】
「ソレはネー、ピアニスト、フタリいるカラなんダヨ、オジョーサンッ!」
「………あなたには聞いてないわ」
ヘタな日本語が、癇に障る。
淡いブルーの瞳をもつ、ブロンド男を視界に入れれば、罠に引っかかったとニヤリと笑うから、顔を顰める。
「ソッチのアナタッ!」
その表情のまま僅かに声を張り上げ、ビシッと指さした先には百瀬。
百瀬はそんなことは構わずに、
チラリと会場の時計をみて、下の様子を確認するような仕草をする。
「ワタクシのコト、シッテルネ?」
逡巡する瞳を泳がせる百瀬は、
「あなた…は、……アイリーンですね…?」
躊躇いつつも、疑問をぶつけたように見えた。
アイリーンと呼ばれた男はいっそう笑みを深め、早口でなにか喚ていた。