エンビィ 【完】
「ソウソウッ!トッテモ、ユーメイ、テンサイ、ピアニスト」
百瀬に尋ねたはずなのに、
「トクベツに、よんでアルヨッ!」
可笑しなトーンの日本語が、そう答えた。
内心ではギョッとしたものの、
それを顔には出さず、
優雅な動作で横をむけば、割と近い位置にブロンドの男がいた。
一応仕切りはあるものの、
手すりに肘をついてこちらに向いている顔は、近い。
「ワアーオ!カンキャク、オオイネー」
また変な外人に絡まれる前に、距離を置く。
ブロンド男は、
口笛を鳴らしながら、流暢な英語で何やら呟いている。
「なぜピアノが2台あるの?」
今度はちゃんと百瀬の顔を見て尋ねた。けれどその肝心の百瀬が、あたしではなくブロンド男を凝視している。