エンビィ 【完】




伊織はあたしのことを許していない。


誕生日会で仕組んだように、

伊織もこの機会に、

あたしのプライドと自信を粉砕させるように仕組んだのだろう。




目頭が熱いのは―――クヤシイから?

いつものように屈辱を感じてるから?



あたしの心は渦を巻いて、激情に満ちているというのに、会場に流れるのは、ソプラノ歌手の切ない歌声。




何もかもが噛みあってない。

噛みあって、ない。




「 フェアリーテール、キカセテ、アゲヨウカ? 」



耳元でなげかれたそれに、ブロンド男を目一杯睨みつける。いつの間にか、一枚隔てを越えた、あたしの領域に、足を踏み入れている。


百瀬は何をしているのかと視線を動かせば、アイリーンが松葉杖を喉元につきつけ、動きを封じていた。




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