† of Thousand~千の定義
膨大な質量と範囲をもってして、炎が降り注いできていた。

いや、降り注ぐなど生ぬるい。

広大な炎の天井が、メテオストライクのように落下してきている。

「ふっ、ふざけんな!」

空一面を覆う炎の質量ならば、たしかに私を魔法陣ごと焼き払える。

しかし、それはもちろん、この町そのものが焼失することに繋がる。

つまり、私が守ろうとしたものすべてが、『定義』もなにもかも、焼尽される。

「やめろ、このバカ野郎!!」

私の世界は、一度潰えている。彼がいなくなった時に一度。

あの時のさびしさは私を束縛し、あるいは無闇な解放へと落とし込め、天涯孤独という自由の世界を与えた。

少女は、ひとりになった。

生まれた記憶も、認識も、なにもない世界、時代に放り出され、すべてを無から有へ作り直さなければならなかった。

私を知る者はおらず、私がしっているものも、なかった。
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