聖乙女(リル・ファーレ)の叙情詩~真実の詩~

まばゆい光が去ると、カイは真っ白な世界にいた。

太陽の光を通さない白い空に、大地一面を覆い尽くす白い海。空からはしんしんと白い花びらのようなものが降ってきては白い海と同化していく。

花びらはカイの掌にあたると、ひやりとした冷たさを残して溶けて消えた。

これは花びらではない、とカイは気がついた。

「これは……“雪”……?」

知識として知ってはいたが、目にするのははじめてだった。常春の国フローテュリアで生まれ育った彼には、雪を目にする機会がなかったのだ。

「リュー! どこだ、リュー!!」

叫んで360度見渡して、カイは途方に暮れかけた。

雪原はどちらを向いても地平線が一直線に見えるほど広く限りなく続いており、人影などまったく見当たらなかったからだ。

―このどこかにリューが…。いったいどこに?

リュティアを探そうにも、こう広くてはどちらに向かって歩き出せばよいのかもわからない。
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