泣き虫王子と哀願少女


「ごめん、やっぱり答えなくていい……」

「俺はっ……」

「えっ?」



グイッ



「っ!」



突然潤君が、遮るように言葉を重ね、駆け出そうとする私の手首をギュッとつかんできた。



ドキンドキンドキンドキン



心臓が、今日何度目かの高速回転を始める。


真剣な眼差しで私のことを見つめる潤君から目が離せない。



そして ――



「俺は、宝生とは付き合ってないよ」

「え?」

「告白された時、キッパリ断った」

「それじゃ……」

「あの後も宝生と一緒にいたのは、宝生に友達でいいからこれからも付き合ってくれって言われたのと、ケガさせた責任を最後までとるためだ」



そう言って、私の手首をつかんだ手に更に力をこめる。



「俺が……俺が好きなのは……」

「潤……君……?」



眉間にしわを寄せ、先程よりも切ない瞳で私の瞳を真っ直ぐに見つめてくる。


そして、意を決したように潤君が何かを言おうとした次の瞬間



「んにゃ~!」



ニャン太が、自分もかまってくれと言わんばかりに潤君の足にまとわりついてきたのだった。

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