泣き虫王子と哀願少女
「べつに……。潤でいいよ……」
「!?」
「それと、タメなんだから敬語とか使わなくていいから」
「!?!?」
……な、名前呼びっ!?
いつも男子生徒を名字でしか呼んだことがなかったため、こんな些細なことでもいちいち動揺してしまう。
本当にいいんだろうかと戸惑いつつも
……潤君……
心の中でそっとつぶやいてみたら、なんだかそれがすごく特別なことのように思えて胸の奥が温かくなった気がした。