アキと私〜茜色の約束〜

『秋人…やっぱここにいたか』


アキが俺の横に寝転がる。
荒い呼吸と上下する胸を見ると、全速力で走って追い掛けて来たのがわかる。

ややして、呼吸が整うと、アキは茜空を見つめたまま口を開いた。


『おじさんが、家で待ってるって』

『……』

『今後のこと、ちゃんと話そうって言ってたぞ』


親父の涙を思い出す。
親父は、母さんの裏切りを知った時、どう思ったんだろうか。

どれだけ、辛かったんだろうか。


『茜には、言わないでくれ』


茜に話すと、必要以上に心配する。
俺よりも傷付いて、きっと俺よりも泣きそうだ。

茜はそういう奴だから。

あいつを悩ませたり、泣かせたくない。


『ああ、わかってる』

『悪い、な』


アキのことは信じてる。
この秘密は墓場まで持って行ってくれるだろう。


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