teach




すぐに決まった打ち合わせ。



都内某所のスタジオ内。



ケンさんの読み通りなこは案外普通の様子で、初めて訪れる音楽スタジオに興味津々。



撮影の現場には何度か連れて行ったことはあるが、また雰囲気が違うからな。



動き回ったりはしないけど、俺の隣で手を繋いだままキョロキョロしている。



「お待たせいたしました。SSGマネージャーの鹿島と申します。本日はわざわざ起こし頂きありがとうございます」

「こちらこそ。私、社長の…」



扉を開けて入って来たのは細くて背の高い、いかにも秘書って感じの男。



それに続いてSSGのリーダー・sakuが入ってきた。



なこの初めての仕事。



なぜか社長の龍さんまで着いて来ていて、机を挟んでSSGなんて豪華すぎる…。



なこはこの凄さを知らないからか、先ほどまでとさほど変わらない様子だ。



俺とケンさんだけガチガチに緊張してる。



ちなみにまだnakoにマネージャーなんかはついてないから、ケンさん達が兼任してくれている。



「じゃあ早速だけど。今回のアルバムのイメージが…」



挨拶をしていたマネージャーに続き、sakuさんが自ら説明。



室内は一気に真剣モードだ。



「…ねぇ」

「ん?」



小声でなこが話しかける。



メインで会話してるのは社長とケンさんだから、俺らはそれを聞いてるだけ。



なこ飽きたのか…?



「…トイレ」




そういや、話し始めて結構経つ。



休憩なしでぶっ続けだったし、休憩しても良さそうな頃合いだ。



「なこちゃんトイレ?…すみません、少し休憩にしましょうか」

「そうですね」



気づいた社長の言葉で15分の休憩。



なこは部屋の端で控えていた遊さんに連れられ、お手洗いへ向かった。



「君、モデルの子でしょ⁇」

「え、はい、JUNです」



なこが部屋を出てすぐsakuさんに話しかけられる。



こんな超大物に知られてるとかヤバいな。



「どうして今日はここに?」

「あの子、コイツの親戚なんですよ」



俺に代わり、答えたのはケンさん。



「過去に色々ありましてね、nakoは淳だけに懐いていて…暫くは同行させようと」



続いて説明してくれる龍さん。



そんな設定知らなかった。



この人たちどこまでも俺らのこの考えてくれてんだ。





< 106 / 130 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop