天国への切符






「おはよ、平野」

「あっ、お…はよ」



翌朝の登校中、信号待ちをしていると、吉岡の自転車が隣に並んだ。


昨日は普通に話せていたけど。

だけど今は、何故か少し緊張している自分がいて。



「何だよ、寝起きか?テンション低いぞ」


なんだかんだと話しかけてくる吉岡に相槌を繰り返していると、そんなことを言われてしまった。



「テンション低くて悪かったですねえ」



嫌味ったらしくそう返事をすると、吉岡はクスッと笑っていた。



「つーかさ、あの子」

「えっ?」

「ほら、あれ」



吉岡はそう言うと、前の方を指差した。



「あっ…」



その先に美波の姿を見つけたあたしはホッとしたように胸を撫で下ろす。



美波、今日は来たんだ。


良かった…来てくれて。



ぶっちゃけ登校拒否になったらどうしようって考えてた。

もしこのまま美波が学校に来なかったらあたし達の責任だって思ってた。



だから…



「おい、行くぞ!」


「えっ⁉︎」



先にスピードをあげて走っていく吉岡。


そして追いついた吉岡が美波に話しかけた姿を見ていると、ギュッとハンドルを握りしめて…勇気を出してあたしもスピードをあげた。


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