天国への切符



「寒いよなー!今日」


「うん…そうだね」



近付いた途端、聞こえてきた吉岡と美波の声。


頑張って話しかけてみようかと思ったけど、でもやっぱり出来なくて。


自転車を漕ぐスピードがだんだんおちていく。




「おい!早く来いよ〜!」



だけどこっちを振り向きながら言った吉岡のその言葉で、美波の顔がゆっくりとこっちに向いた。


一瞬で繋がる視線。


ドキドキと心臓が早くなっていく。



「……おはよう、美波!」



だけどあたしがそう言ったら。



「お、おはよう!」



美波は笑顔で答えてくれて。


こんな美波の顔は久しぶりに見たような気がして。


嬉しかったんだ。



美波が笑ってて。


すごく…嬉しかった。



< 151 / 363 >

この作品をシェア

pagetop