天国への切符
「寒いよなー!今日」
「うん…そうだね」
近付いた途端、聞こえてきた吉岡と美波の声。
頑張って話しかけてみようかと思ったけど、でもやっぱり出来なくて。
自転車を漕ぐスピードがだんだんおちていく。
「おい!早く来いよ〜!」
だけどこっちを振り向きながら言った吉岡のその言葉で、美波の顔がゆっくりとこっちに向いた。
一瞬で繋がる視線。
ドキドキと心臓が早くなっていく。
「……おはよう、美波!」
だけどあたしがそう言ったら。
「お、おはよう!」
美波は笑顔で答えてくれて。
こんな美波の顔は久しぶりに見たような気がして。
嬉しかったんだ。
美波が笑ってて。
すごく…嬉しかった。