天国への切符
「……るさい」
「えっ?」
「ウザイんだよ!話しかけてくんな!」
言いながら肩を掴まれ、ものすごい勢いで揺さぶられた。
「…私のことなんか…キライなくせに!私なんかいなくなればいいと思ってるくせに!」
サエは、大きな声で叫びながら荒々しくあたしを壁際まで追いやった。
…いなくなればいい?
なんでそんな……
「そんなこと思ってない!キライなんかじゃないよ!」
あたしも大きな声で叫んだ。
賑やかだった教室は一瞬のうちに静まり返っていた。
「私がいなかったら…全部うまくいくんだ!あんた達も…みんなうまくいくの!」
なんで?
どうして?なんでそんなこと言うの?
「うまくなんていかないよ!もう誰もひとりぼっちにはしない!サエもひとりになんてさせない!」
「うるさい!うるさいうるさいうるさい!」
サエは、泣いていた。
泣きながら、あたしの肩を掴んでいた。
サエが泣いたのを見るのはこの時が初めてだった。
「…もう…やめる」
「え?」
「学校なんてやめてやる!」
サエはそう言うと、あたしから手を離して教室から飛び出していく。