豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~


ちぇ、いいとこなのに、誰だよ。


光恵は「助かった」というように、孝志の腕からするりと抜け出る。髪を整えて、眼鏡を直し、玄関の扉を開けた。


「こんばんわ。メシ食いにいきませんか?」
輝が言った。


野島、あの野郎。


「あ……あ、そうね……あの……」
光恵は見るからに動揺している。


孝志はぐいっと身体を光恵の前にいれて、輝の目の前に立ちはだかった。


「佐田さん」
輝が驚いた声を上げた。


「……ここで何を?」
「遊びにきただけだよ」
「遊び?」


輝は佐田の身体の脇から、動揺している光恵を覗き込む。


「またミツさんに、ちょっかい出しました?」
「人聞きの悪い」
「ミツさん、大丈夫ですか? 佐田さんを、追い出します?」


あろうことか、輝がそんなことを言う。
光恵は目をぎゅっと閉じている。


ここを輝に譲る訳にはいかない。あいつ、ミツに何するか、分かったもんじゃない。


孝志は自分のことを棚にあげて、そんなことを思った。


「いつもこんな風にミツのこと誘ってるのか?」
「いけませんか?」
「別にいいんじゃないか、ミツが迷惑に思ってなかったら」
「思ってませんよ。佐田さんこそ、突然来て、ミツさんを困らせてるんじゃないですか?」


玄関先でしばらく押し問答をしていると、光恵が爆発した。


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