豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~


「見た? あれ」
「見た見た。 ほんとかな」
「えー、そんなわけないと思うけど。舞台の宣伝とかじゃない?」
「だよねー。でもさ、中山ゆうみよりもいいと思う」
「ああ思うよね。なんかあの二人じゃできすぎちゃってて」
「そう。まるで勝ち目ないし」


そこで女性達が笑う。


何の話?
光恵は首を傾げる。


「あの照れたみたいな顔がさ……」
「すごいカワイイんだよね。びっくりしちゃった」
「映画見た後で、あの顔はずるいよ。余計に好きになっちゃった」


「光恵さん、こっち」
楽屋口から輝が顔を出して、手招きしていた。


「来て、楽屋」
「あ、うん」


光恵が立ち上がると、側にいた女性達が「やばい、関係者だった」というように、恥ずかしそうな顔をする。光恵は盗み聞きしてしまった気持ちで申し訳なく、顔を隠すように楽屋口に急いだ。


< 231 / 261 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop