豹変彼氏~ドラマティックに愛されて~


楽屋口を入ると、蛍光灯の白さが目立つ廊下。輝は衣装もヘアメイクも終わっている。


「ミツさん、今日は袖で見るんでしょ?」
「うん、そのつもり」
「わくわくするね」


輝は幕が開く直前の興奮で、目をキラキラさせていた。


「ミツさん、携帯にURL送ったから」
「……なんの?」
「とにかく、見て。幕が開く前に」
「う……ん」


光恵はなんのことか、さっぱりわからない。鞄からスマホを取り出して、メールの着信を確認した。


「食欲ってさあ」
輝が言う。


「本能なんだよね」
「はあ、まあ、そうね」
「それをコントロールできるって、相当の意思の力が必要だと思う」


輝くん、何の話してるの?


「それができるくらいなんだから、性欲もコントロールできたんじゃないかな」
輝が言った。


光恵は面食らって「は?」と間抜けな声を出した。


「もちろん俺だって、ミツさんのために、食欲も性欲もコントロールできる自信あるけど」
そういって笑う。


「俺たちの舞台、楽しんで」
輝はそういうと、軽く手を上げて、楽屋の奥へと歩いて行った。


光恵は話が読めず、呆然とする。
それから気を取り直して、メールに記載されているURLをクリックした。


< 232 / 261 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop